NOSE SHOPマガジン|新時代の香水・フレグランスメディア

アンバーとアンバーグリスの違いって?

読み物

香水に使われる香料って書いてあってもピンとこないこと、多くないですか?
その香料ってどんな物なのか、じっくりみてみようと思います。
今回は、アンバーとアンバーグリス。
その香料の違いを探ってみます。

アンバーグリス

アンバーグリスはフランス語のAmbre Gris(灰色の結石)からくる言葉。
先日のZOOLOGIST、スクイッドの記事でも言及しましたが、マッコウクジラが主食であるダイオウイカを食した後消化しきれないクチバシや骨をまとめて結石化。排出した後日光と酸素、海水によって長い時間かけて酸化、熟成したものを指します。

  • Zoologistの記事はコチラ
  • アンバーグリスの香りは甘くてほのかにパウダリーそして、独特の塩気があると言われています。
    現在はワシントン条約による捕鯨の禁止やある程度のクオリティが担保された香料が取れるまでの希少性によって価格は高騰。金よりも価値のあるものとされています。
    やはり、ムスクと同様にこの香りもその高価さなどから使用するケースは非常に限られてきていることや、アンバーグリスの主要な香気成分も判明しているため、ほとんどの場合は別の香りで再現されています。
    ノーズショップのアイテムで天然のアンバーグリスを使っているのは1点のみ。このことからもその希少性がわかるかと思います。
    ちなみに、その香水はRegime des fleursのニムファエア・カエルレア

    Regime des fleurs|ニムファエア カエルレア

    Note:ブルーロータス(インド産)、ブルーロータス(ハワイ産)、ホワイトアンバーグリス、オーロラのリコンスティテューション、ナイルリリー、パンダナス・アマリリフォリウス、塩辛い水、15種類の花のアブソリュート

    ノーズショップの中で試すことのできる場所は存在しない。扱う香りの中でも最上位の香水。

    こんなに高い理由はヴィンテージの本物のアンバーグリスと2000年初期にインドで超低温蒸留を行い抽出されたロータスを使用していることから始まり、非常に希少な香料を使っているから。

    運に恵まれ、一度だけ試したことがありますが、瑞々しくキラキラとした水面の上にたたずむ睡蓮の香り。アクアティックなニュアンスの中に繊細な花と甘みが同居した複雑な香りでした。
    一見普通っぽい香りですが、その中にある優しさや肌のそばで優しく香るニュアンスは他にはありません。
    正直とんでもなく好きです。喉から手が出るほど欲しい。
    このアクアティックなニュアンスと甘みをアンバーグリスで引き立てているように感じました。

    この香りはブランドとしても2019年に生産した分と2014年のブランド最初期に生産した分の2ロットしか存在せず、1回に作るできる量は250個という贅の限りを尽くした香水です。本気でご検討になる方はスタッフに声をかけてみてください。

    アンバーグリスの主な香りの成分はすでに特定されていて、その名前はアンブロキシド(アンブロキサン)といわれています。
    もちろん名前の由来はアンバーグリスです。
    ノーズショップのアイテムの中では、大人気NEED_Uに入っています。動物性の香料は一般に肌馴染みの良い香料と言われており、この香りの肌馴染みの良さもきっとこのアンブロキサンやムスクが生み出しているのではないでしょうか。

    アンバーグリスの香りの概要についてわかったと思います。
    それでは次にアンバーについて探ってみましょう。

    アンバー

    アンバーは現代では、樹脂をイメージした香りとして扱わせることが多く、よく「甘い香り」や「お香のような香り」として表現されてます。
    それはフランキンセンスやミルラといった樹脂のお香や甘い香りが古来より使われていたことに付け加えて、アンバーグリスの代用になる香りもアンバーと名付けられていたからだと思われます。
    そこから発展し、黄金色の樹脂のイメージの香りが制作されるようになりました。
    この香料について、ジャンクロードエレナは著書『香水』においてこのように話しています。

    アンバーは香水製造のベースの一つだが、樹脂の化石である黄色い琥珀とも、マッコウクジラの腸結石であるアンバーグリスとも、なんの関係のない物質だ。それは19世紀の終わりにバニリンの発明から生まれた、最初の抽象的な匂いだ。合成香料バニリンと、天然香料ラブダナムをシンプルに組み合わせて生まれたアンバーは香水作りの定番とさえ言えるものになり、そこからたくさんの香水が生まれた。
    (芳野まい,Jean-Claude Ellena, 2010,12-13)

    ラブダナム+バニリンで表される、アンバーという香料。元々はここで言及されているように関係のない素材を用いてアンバーのイメージを作り上げた香りの一つとされています。
    しかし今ではこの原義から離れ、現代ではアンバーグリスの表現としても使用されています。

    ラブダナムとは、木の根っこ。シスタスと呼ばれる香料。
    ノーズショップではEtat Libre D’Orangeのアタッキイ ル ソレイユ マルキ ド サドはこの香りしか明かされていません。
    香りはキッと鼻を刺激する部分があるウッディな香料です。
    バニリンはご存知の方も多いとは思いますが、バニラの香りを構成する主要な香気成分。
    あの甘い香りを構成しています。

    そんなアンバーについてよく知ることができるのがLaboratorio Olfattivoのお部屋の香りのクアレ・タンブラその香りのノートから紐解いてみます。

    Laboratorio Olfattivo|クアレ・タンブラ



    NOTE:
    トップ|レモン、チスト
    ボディ|シダーウッド、パチョリ
    ベース|ラブダナム、トンカマメ、バニラ
    直接的なアンバーノートを使わずにアンバーという香りを生み出したクアレ・タンブラですが、確かに丸みがあり甘くて丸いアンバーの香りがします。

    それは、やはりベースのラブダナム、トンカマメ、バニラの組み合わせがあるからではないでしょうか。
    すでに市販されているものを使うのではなく、ディフューザーの中で、この3つの香りを組み合わせることで生み出した、アンバーの香りです。

    また、このアンバーの組み合わせは、アンバーグリスの表現でも用いられます。
    Perris Monte Carloのアンバーグリスはこのように表されています。

    Perris Monte Carlo|アンバーグリス



    トップ|フレッシュ
    ボディ|ゼラニウム、アイリス、クローブ
    ベース|ラブダナム、ベンゾイン、バニラ、ムスク

    ペリスモンテカルロの銀座限定のコレクションライン、ゴールドコレクションからアンバーグリスです。
    この香りもやはりベースはラブダナムとバニラ。アンバーの甘い透明感の上にアイリスのほわほわとしたパウダリーな香りが覆っておりアンバーグリスとして成り立たせています。
    このクラシカルな甘みは他のアンバーの香りとは一味違う、アンバーグリスらしい香りになっていると思います。

    今回はそんなアンバーとアンバーグリスについてご紹介しました。
    アンバーグリス特有のパウダリーな甘みとアンバーの透明感。意識して試してみると意外な発見があるかも…?

    参考文献
    Le Parfums, 2007, Jean-Claude Ellena.(芳野まい訳, 2010,『香水 香りの秘密と調香師の技』 白水社.)

    スタッフ 河村

    この春大学卒業しました。新宿店勤務中。 最近グルマンが気になっています。

    プロフィール

    ピックアップ記事

    関連記事一覧

    1. この記事へのコメントはありません。

    CAPTCHA